誰のために戦うのか~金銭以外で人を動かす強いモチベーションとは

投稿日:2013年2月5日

今年もNFLのスーパーボウルが終了した。

わずか3点差でレイブンズの勝利。
プレイオフ順位としては4番目と悪条件ながら、
ブロンコスには99%負けの状態から奇跡の逆転勝利(このゲームは10年に1度のビッグゲームだったと思っている)、
ペイトリオッツには持ち味のディフェンスで相手をねじ伏せた。

このスーパーボウルでは、
レイブンズは守備陣の老齢化を指摘され、
ギャンブルのオッズもアンダードッグ(不利)評価であった。
しかし、オフェンス力で34点を上げ、
最後は残りレッドゾーンディフェンス(自陣20ヤード以内)でタッチダウンを許さず、
残り5ヤードを守りきってのお家芸の守備の勝利。

試合終了2分前まで息つく暇もないほどの、
近年まれに見る素晴らしい好ゲームだった。

このゲームの鍵を握ったのは、
今期限りで引退を宣言していた、
NFLの歴史上最高のラインバッカーともいわれるレイ・ルイスだろう。

このプレイオフでも、
スーパーボウルでも、
37歳の年齢による衰えと怪我の影響を隠せず、
明らかにオーバーウェイトで重めの体を引きずっていて、
ほとんどスーパープレイどころか大きな活躍も少なかったが、

「レイ・ルイスの最後をスーパーボウルの優勝で飾ってあげたい」

という気持ちが、
チームを一丸とさせたに違いない。

NFLのゲームは、実力が逆転することがほとんどない、といわれる。
NBAに次いで、番狂わせがとても起こりにくいスポーツなのである。

そんな中でも、
チームに長く貢献して愛されてきたチームメイトの引退の花道のために、
というモチベーションは、
実は極めて強いものとなり得る。
心理的な戦力だけでなく、観客の声援や、実は審判の判定にも微妙に影響してくるのである。

7年前、2006年の第40回スーパーボウルでは、
ランニングバック、ジェロームベティスの引退の花道を、
開催地である故郷のデトロイトで勝利で飾ってやりたいという強いモチベーションの元、
スティーラーズが史上初の第6シード(最下位)からのスーパーボウル出場を果たし、
見事に勝利している。

レイ・ルイスといえば、
誰もがその存在を知るスーパースターであり、
若いメンバーが多かった49ersでも知らない選手はもちろんいない。
誰もが尊敬してやまないプレーヤーの失望の涙は、誰も見たくはないのである。

49ersのクォーターバック、キャパニックが投げた最終クォーターの4thダウンでの、
逆転を狙ったパスは、レイブンズ守備陣に阻まれたが、
確かに、ホールディングの反則をとられてもおかしくないシーンだった。
この判定次第では、反則によって前進した49ersが勝利していたかもしれない。

ハイライト動画。問題のシーンは12:18くらいから。

しかし、
あのケースは、レイ・ルイスの最後の花道を断ち切らなければならないほどの反則ではなかった、
ということだろう。
私が審判だったとしても絶対にあの場面で反則はコールしない。
反則が微妙なものであれば、「疑わしきは罰せず」のとおり、コールしない方が無難である。

あるいは、最後の逆転パスは、反則狙いでの逃げのパスではなく、男らしくど真ん中に投げ込め、
というフェア精神を重んじるアメリカらしいメッセージだったのかもしれない。

また、
レイブンズQB、ジョー・フラッコの勝利への執念は、
もはや異常ともいえるものであった。
プレイオフに入ってからのクォーターバックレイティングは114(100以上ですごい数字)を上回り、
ブロンコス戦では、何かに取り憑かれたかのような奇跡のパスを何本も通した。

レイルイスの最後を飾るこの年に、
なんとしてもスーパーボウルで優勝することを、
他の誰よりも強く覚悟を決め、腹に落としたに違いない。

今の時代において、
「金銭」「個人的な名誉や欲望」
というのは、
世界の頂点を争うようなビッグゲームにおいて、
強いモチベーションにはなりにくい。

特に、NFLプレーヤーは年間にたった16試合しかしないのに、
世界のスポーツ長者番付トップ25のうち最多人数をいつも誇っているくらい、金銭面では恵まれている。

世界スポーツ選手長者番付トップ25
※2012年世界スポーツ選手長者番付トップ25内訳
NFL 7人
F1レーサー 5人
ボクシング 3人
サッカー 3人
ゴルフ 2人
NBA 2人
テニス 2人
MLB 1人
(ベッカム、メッシ、タイガーウッズ、コービーブライアント、パッキャオ、フェデラー、ナダル、アロンソ、シューマッハ、といったビッグネームはスポーツにあまり興味がない人でも耳にしたことがあるだろうが、ダレル・リービス、ダムコング・スー、といったNFLの、日本ではまったく有名ではないスポーツ選手がそれらのビッグネームと年俸で肩を並べている事実に驚くだろう)

今の時代、
金銭以外に、
なにか強いモチベーションをチームに持たせようとするならば、

「誰のために戦うのか」

というファクターはとても有効だ、ということである。

日本という国は、
なんだかんだいっても、
世界でいまだ最高峰に裕福な国のうちのひとつであある。

この豊かな国において、
金銭で人を動かそうとしてもうまくはいかないのは自明の利であって、
経営者やリーダーは、
常にそれ以外のモチベーションをチームに働かせることを考えなければならない。

ビジネスの世界では、
引退の花道、という手はそうそう使えるものではないから、
現実的には、リーダーや経営者、事業主の魅力、
「この人と一緒に仕事をしていきたい」
と思わせるような人間となり、
チームのメンバーと絆を作っていくことが、一番の近道であろう。

レイ・ルイスは、
情熱を表に出し、
チームメイトを励まし、
献身的なプレイでチームに貢献する。
そして、若いメンバーの面倒をよく見て、育てていた。
リーダーのお手本のような人物だった。

そんな彼が、
多くの人によって支えられ、
最高の結末を迎えられたのは、むしろ当然のことだったのかもしれない。

そんなことを考えさせられた、
2013年のスーパーボウルだった。

レイルイスのゲーム終了後の最後の言葉は、
そんな人の絆を感じさせるような、
とても美しいものだった。

“Everything, the world, life now,”
“My family, my sons, they really sacrificed for me, now I get the opportunity to sacrifice for them. To see their faces, to hear their comments, and know what’s in their hearts. Everything is coming now. The only thing that ends is football.
Life really begins for Ray Lewis now.(「レイ・ルイスの本当の人生が今始まったのさ」)”






参考リンク
・スーパーボウルの視聴者アメリカ人のうち1億人が見ているーインフォグラフィック
Super Bowl: How We Watch and Connect | Visual.ly

・スーパーボウルのチケット代は20万円~60万円ーインフォグラフィック
SeatGeek's Guide to the Super Bowl XLVII Ticket Market | Visual.ly

・スーパーボウル2013のCMのネット上の動画視聴ランキング
Super Bowl 2013 Ads: Budweiser’s ‘Brotherhood’ Wins the Big Game – Search Engine Watch (#SEW)

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